昌永 徒然なるままに・・・
2021/06/16
WEBショーウインドウ 13
林英二造 弥七田織部振出 昭和林英二は岐阜県の作家です
弥七田織部は、緑釉と黒線が躍動的な模様です
振出とは、干菓子、中でも小さく粒々、コンペイトウなどを入れてお客様にお出しします
とうもろこしの皮でできた栓をとり、振出を軽く転がして懐紙に出します
昔は麦焦がし(はったい粉)を入れたりしたそうです
振出の干菓子は、突然のお客様にお茶をとか、お続き(二服目)のお茶などのお菓子として出すのに重宝します
2021/06/15
連歌(れんが)
中学生の頃「奥の細道」の冒頭を暗記させられました理解できる言葉も少なく、呪文のように頭に入れました
あれから、半世紀が近く経ちました
今、江戸時代の連歌の掛軸を解読しています
和歌懐紙にびっしり書かれています
紙が貴重だった昔、1枚の懐紙に全てを書くため
紙の終わりまで書いてしまうと、最初に戻り、最初に書いた行の間に小さい字で書いていきます
「連歌」は人が集まり、リレーのように五七五と七七で歌を繋げていきます
歌は一つのテーマには留まらず、どんどん流れていきます
その時にしかできない、一期一会の世界です
「奥の細道」の冒頭の最後
草の戸も住み替わる代ぞ雛の家
表八句を庵の柱にかけおく
「表八句」が連歌であること、短冊ではなく、懐紙に書かれたこと、庵の柱はちいさな床の間ではなっかったのか
中学生の私が理解できずにいたこと、ジグソーパズルのピースがやっと見つかった気持ちです
2021/06/11
WEBショーウインドウ 14
丹羽玉邦筆 「百合」 大正〜昭和お茶事やお茶会で茶室に入る前、まず、寄付きという控えの間に通される事が多い
そこにも掛軸が掛かっているもので、その掛軸は茶会、茶事のプロローグにあたる
招かれた人は、その会のテーマを想像し、期待感を高める
ただ軽く「一服どうぞ」というお茶の時、季節を感じる掛軸を掛けることが多い
寄付きの掛軸は、あまり描きこまれていないものが多い
物足りないと感じる人もいるかもしれない
フルコース料理で、いきなりメインディッシュがで出てこないのと同じかもしれない
2021/06/10
表情
裏庭の一番日の当たらない場所に、紫陽花、南天、ドクダミが植わっている梅雨時の今頃、花をつけてくれる
南天の白い花は、雪のようにちらちらと降るように落ちる。儚く美しい
紫陽花とドクダミは、表に出してあげたくなり玄関に生けてみた
花にも、「ハレ」の表情がある
2021/06/08
WEBショーウインドウ 13
小堀宗中筆 「獨」 江戸後期小堀宗中は遠州流中興の祖と言われています
慶応3年6月24日に82歳で亡くなりました
「獨」
「数ならぬ みほとの山の おくもなし 人の問はぬを かくれ家にして」
「みほと」は「御仏」なのか、また、俗語で女性を意味する言葉もあり、次の「おく」は「奥」、妻ともとらえることができる
この歌の奥行、深さを感じる
2021/06/07
文字の力
最近の伝達手段は、SNSなど画像によるものが主流になっていますまた、見た目も重視し「バエル」という言葉まで生まれました
見ただけで瞬時に事柄が理解できる。言葉で表現したら、まどろっこしくなります
文字、特に手描き文字は心の奥の気持ち表現できます
古文書のジャンルに、消息(手紙)や歌・俳諧というものがあります
文字も草書やかな変体で書かれていて、字のくせも強く俗に「みみずのはった字」と呼ばれたりします
消息や歌・俳諧の書は、まず最初に、筆の勢いや墨つぎのリズムにより、年齢や心情を推測します
想像の翼を広げ、文字の中に入っていき解読します
何百年もの時を越えて、鮮やかに景色が見えてきたり、書いた人の心情を垣間見ることができます
店が不定休の今、棚上げになっていた消息・歌・俳諧の掛軸を読んでいます
こんな時だからできる楽しみです